本記事にはプロモーションを含む場合があります。価格・仕様・各社の規約は 2026年8月11日時点 で各社の公式利用規約・プライバシーポリシーを直接確認した内容です。規約は予告なく改定されます。契約・アップロードの前に、必ず各社公式ページの最新表示をご自身で確認してください。
「参照画像に自分の顔写真を上げたけど、あれモデルの学習に使われるの?」「クライアントから預かった素材を動画生成AIに入れて大丈夫?」——動画生成AIを仕事で使い始めると、必ずここで手が止まります。この記事は、その疑問に各社の公式規約の条文だけで答えます。ニュース記事やフォーラムの伝聞は一切使っていません。
先に結論——「学習に使う」が標準、「使わない」は例外
先に結論をお伝えします。2026年8月11日時点で公式規約を確認できた7サービスのうち、「ユーザーの入力・生成物を自社モデルの学習に使いうる」と明記していたのは6サービスでした。「学習には使わない」と明記していたのは Adobe の1社だけです。
つまり業界の既定値は「使う」側にあります。そのうえで、実務で効いてくる差は次の3点です。
- オプトアウトできるか。設定でオフにできるのは OpenAI(Sora / ChatGPT)と Google(Gemini アプリの Veo)。PixVerse は「オプトアウトの選択肢が提供されている場合は」という条件つきの規定です。
- 無料と有料で条件が違うか。Luma は無料利用時にライセンスの範囲が広がる書き方になっています。
- 匿名化・集計が条件になっているか。PixVerse は「集計・匿名化された形でのみ」と条文で限定しています。
そして条文そのものを確認できなかった会社もあります。Kling、Hailuo(MiniMax)のコンシューマー版、Vidu の3つは、規約ページの本文を取得できず一次確認ができませんでした。この「読めない」という事実自体が判断材料になります。
※ 本記事は各社の公式規約テキストの読解のみで構成しており、各サービスの挙動を実際に検証したものではありません(2026年8月11日時点で未実測)。
【比較表】8サービスの学習利用条項
すべて2026年8月11日に公式ページを直接読んで作成しました。 出典URLと条項位置を各行に付けています。
| サービス | 学習利用 | 前提・オプトアウト | 根拠にした公式ページと条項位置 |
|---|---|---|---|
| Runway | する | 規約上のオプトアウト条項なし | 利用規約 §4.4「User Inputs and Outputs」(最終更新 2026年5月11日)runway.com/terms-of-use |
| Luma(Dream Machine) | する | 無料利用時はライセンス範囲がさらに広い。オプトアウト条項なし | 利用規約 §4.2「Use of Input」(最終更新 2026年5月14日)lumalabs.ai/legal/tos |
| Pika | する | 「書面で別途合意した場合を除き」。AI Self 用の入力は他モデルに転用しない例外あり | 利用規約 §6「Use of Content for Model Development」(最終更新 2026年2月11日)pika.art/terms-of-service |
| PixVerse | する(条件つき) | 「集計・匿名化された形でのみ」。オプトアウトの選択肢が提供されている場合は拒否可 | 利用規約 §4.1「Services Content」(更新 2026年5月7日)pixverse.ai/terms-of-service |
| OpenAI(Sora / ChatGPT) | する(オフ可) | アカウント設定でオフにできる。API 等の法人向け提供は本ポリシーの対象外 | プライバシーポリシー §2 と §5「Data controls」(更新 2026年5月18日)openai.com/policies/privacy-policy/ |
| Google(Veo / Gemini アプリ) | する(オフ可) | 「アクティビティの保存」オフで今後のチャットは学習対象外。ただしフィードバック送信分は除く | Gemini アプリ プライバシー ハブ「アクティビティの使用方法」節 support.google.com/gemini/answer/13594961 |
| Adobe(Firefly) | しない | ただし Adobe Stock マーケットプレイスに投稿した分は対象外 | Content Analysis FAQ「Generative AI」節(最終更新 2026年6月4日)helpx.adobe.com/manage-account/using/machine-learning-faq.html |
| MiniMax(Hailuo)※API 版 | 明記なし | 「学習(train)」の語なし。「提供・維持・開発・改善に利用しうる」との規定のみ | MiniMax Open Platform 利用規約「AI Output」節ほか(発効 2026年3月30日)intl.minimaxi.com/protocol/terms-of-service |
学習利用を規約で明言している3社——Runway・Luma・Pika
この3社は、条文が最も直接的です。
Runway は利用規約 §4.4 でこう定めています——入力と出力は「同社のAIモデル、アルゴリズム、関連技術・製品・サービスを学習させ改善するために利用されうる」(ラベリング、分類、コンテンツモデレーション、モデル学習の目的を含む)。そのうえでユーザーは同社に、非独占・取消不能・永久・全世界・無償のライセンスを付与します。同じ規約の中に、この学習利用を拒否する手続きの定めはありません(2026年8月11日時点で全文を検索して確認)。なお Runway のプライバシーポリシー(発効日 2026年5月11日)側には学習利用の明示条項はなく、根拠は利用規約側にあります。
Luma は §4.2 で、有料サブスクリプション期間中に提供された入力について「人工知能または機械学習モデルを作成・テスト・改善・学習させ、あるいは開発するため」に利用できると定めています。注意すべきは無料利用の扱いで、無料の場合はライセンスに「改変」「二次的著作物の作成」「配布」まで加わり、範囲が広がります。有料だから学習対象外になるのではなく、有料のほうが範囲が狭いだけ、という構造です。
Pika は §6 に「Use of Content for Model Development」という独立した見出しを置き、「書面で別途合意しない限り」入力・出力・サービス上の操作履歴を機械学習モデルの学習・改善・開発に利用しうると定めています。ここには重要な例外が明記されています——AI Self(自分の分身キャラクター)の作成に使った入力、つまり容姿・声のサンプル・個人的特徴は、その AI Self の開発・運用にのみ使われ、他のモデルの学習や他ユーザー向けの生成には使われない、と条文で切り分けられています。
「条件つき」の3社——PixVerse・OpenAI・Google
こちらは「使う」と「拒否できる」が同居しているグループです。前提条件が付いているので、結論だけ覚えると事故ります。
PixVerse の §4.1 は、ライセンスの対象を「集計され匿名化された形でのみ(solely in an aggregated and anonymized manner)」と限定したうえで、その目的にモデルの学習と最適化を含めています。そして末尾に「そうした選択肢が提供されている場合は、オプトアウトを選ぶこともできる」という条件節が付きます。つまり規約は「オプトアウトできる」と約束しているのではなく、「提供されていれば使える」という書き方です。PixVerse 全般の安全性は PixVerse の安全性まとめ で別途整理しています。
OpenAI(Sora / ChatGPT) はプライバシーポリシー(更新 2026年5月18日)の §2 で「ユーザーが提供したコンテンツを、たとえば ChatGPT を動かすモデルの学習のように、サービス改善のために利用することがある」と述べ、§5「Data controls」で「コンテンツをモデルの改善・学習に使わせるかどうかは簡単に選べる」と明記しています。設定でオフにできるタイプです。もう一点、同ポリシーの冒頭には「API のような法人向け提供において顧客に代わって処理するコンテンツには本ポリシーは適用されない」とあります。個人向けアプリと API では前提が違うということです。
Google(Veo / Gemini アプリ) は、Gemini アプリ プライバシー ハブの記述が最も具体的でした。「アクティビティの保存」がオンの場合、チャットと共有したファイル・動画・画面・写真はアクティビティに保存され、Google は「サービス(生成 AI モデルのトレーニングも含む)の提供や開発、改良」のためにそのデータを、人間によるレビューを伴って利用します。レビュー済みのデータはアカウントと切り離した形で3年間保存されます。一方この設定をオフにすると「今後のチャットは……AIモデルのトレーニングに使用されることもありません(ただし、Google にフィードバックが送信されるようユーザー自身が選択した場合を除く)」となり、今後のチャットは応答生成と安全確保のため72時間だけ保存されます。
「学習しない」と明記していたのは Adobe だけ
Adobe の Content Analysis FAQ(最終更新 2026年6月4日)には、そのままの一文があります——「当社はお客様のコンテンツを生成AIモデルの学習のために分析しません。ただし、Adobe Stock マーケットプレイスにコンテンツを投稿することを選んだ場合を除きます」。あわせて、Firefly のモデルは Adobe Stock などのライセンス済みコンテンツと著作権が消滅したパブリックドメインのコンテンツで学習した、と説明されています。
ただし、この「学習しない」と、製品改善のためのコンテンツ分析(content analysis)は別の話である点に注意してください。同ページは製品改善目的の分析について、オプトアウトできること、およびオプトアウトが適用されない場合があることを別項目で説明しています。「Adobe なら何も分析されない」ではありません。
公式規約を確認できなかった3サービス
次の3つは、2026年8月11日時点で条文を一次確認できませんでした。 「学習に使わない」という意味ではなく、「規約本文を読めなかった」という意味です。
- Kling AI:
kling.ai/docs/terms-of-serviceは目次だけが表示され、本文が取得できませんでした。 - Hailuo(MiniMax)のコンシューマー版:
hailuoai.video/termsは生成画面へ転送され、規約本文に到達できませんでした。読めたのは開発者向けの MiniMax Open Platform の規約(発効 2026年3月30日)で、そこには「入力と生成物を、サービスの提供・維持・開発・改善のために利用しうる」とある一方、「学習(train)」という語は使われていません。同社プライバシーポリシー(発効 2026年3月30日)にあるのも「入力された個人データを個人の属性推定や、プロファイリング目的の学習には用いない」という限定的な否定だけです。API 版の条文をコンシューマー版に当てはめて読むことはできません。 - Vidu:
vidu.com側の規約ページは取得できず、読めたのは API 版(platform.vidu.com/docs/privacy-policy)のみでした。そちらにも学習利用の明示条項はありませんでした。
なお Kling については、当サイトが2026年7月16日に公式プライバシーポリシー原文を一次確認した際も、学習利用の明示条項は見つかりませんでした(詳細は Kling AI の安全性検証)。ただしそれはプライバシーポリシー側の話で、利用規約側は当時も今回も未確認のままです。Hailuo も Hailuo AI の安全性 で別観点から扱っています。
この記事が扱っていないこと——「生成物の商用利用」とは別問題
混同されがちなので線を引いておきます。本記事のテーマは「自分がアップロードした素材が、そのサービスのモデル学習に使われるか」です。「できあがった動画を仕事で使っていいか」はまったく別の論点で、そちらは AI動画の商用利用ガイド にまとめています。無料プランは商用不可だが学習利用はする、というように、2つの条件は独立して設定されています。片方だけ確認して安心するのが一番危険です。
実務での判断——3つのルールに落とす
規約を全部覚えるのは非現実的なので、運用ルールに変換します。
ルール1:他人のものは入れない。 学習利用を拒否できるか以前に、クライアントの未公開素材や第三者の顔写真は、そもそもアップロードの権限がない場合があります。PixVerse の §4.1 のように「入力する内容について権利を持っているか、権利者から適法な許諾を得ていること」を利用者の約束として条文化しているサービスもあります。
ルール2:オフにできるものは最初にオフにする。 OpenAI と Google は設定で切れます。最初の1本を作る前に設定画面へ行くのが正解で、あとから切っても、それまでに使われた分は戻りません。
ルール3:機密案件はサービスを分ける。 学習利用を条文で拒否できないサービス(本記事では Runway・Luma)は「公開前提のクリエイティブ専用」と割り切る。用途でアカウントを分けるほうが、規約を読み込むより確実です。
どのサービスを主力に据えるかは、機能と料金も含めて横並びで見るのが早いです → 動画生成AI 比較。
よくある質問
Q1. 有料プランにすれば学習に使われなくなりますか?
本記事で確認した範囲では、「有料にすれば学習対象外」と明記しているサービスはありませんでした。 Luma は無料利用時にライセンス範囲が広がる書き方なので「有料のほうが狭い」とは言えますが、有料期間中の入力も学習に使いうる旨が §4.2 に明記されています(2026年8月11日確認)。
Q2. 生成された動画(出力)も学習に使われますか?
Runway と Pika は、入力だけでなく出力も学習の対象に含めると明記しています。 Runway §4.4 は「Inputs and Outputs」を並べて対象にしており、Pika §6 も「入力・出力・サービス上の操作履歴」を対象にしています(いずれも2026年8月11日確認)。「自分がアップロードしたものさえ気をつければいい」という理解は、この2社については正しくありません。
Q3. 一度アップロードしたものを、あとから学習対象から外せますか?
条文上、それを保証している会社は本記事の範囲では見つかりませんでした。 Google は「アクティビティの保存」をオフにしても、サービスプロバイダがすでに確認した過去のチャットはアカウントから切り離された状態で最長3年間保存され、削除されないと明記しています。OpenAI もモデル学習の設定は「今後」に効く設計です。設定は先に、が唯一の対策です。
Q4. 規約が読めないサービスは避けるべきですか?
判断はご自身の用途次第ですが、事実として言えるのは、Kling・Hailuo コンシューマー版・Vidu は2026年8月11日時点で条文を一次確認できなかったということです。預かり素材を扱う業務で「規約を確認した」という記録が要る場面では、条文が読めること自体が要件になります。
まとめ
- 公式規約を確認できた範囲では、学習利用は業界の既定値。明確に「使わない」としていたのは Adobe(Adobe Stock 投稿分を除く)だけでした。
- 設定でオフにできるのは OpenAI と Google、条件つきで拒否の余地があるのが PixVerse。Runway と Luma には規約上のオプトアウト条項が見当たりませんでした。
- Kling・Hailuo コンシューマー版・Vidu は条文を読めませんでした。「安全」でも「危険」でもなく、「未確認」です。
- 覚えるのは3つだけ——他人のものは入れない/オフにできるものは最初にオフ/機密案件はサービスを分ける。
(本記事の各結論は、2026年8月11日に各社公式の利用規約・プライバシーポリシー・ヘルプページを直接読んで作成しました。規約は予告なく改定されます。実際の利用前に、必ず各社公式ページの最新表示をご確認ください。)