本記事にはプロモーションを含む場合があります。各社の規約・ポリシーの内容は 2026年8月21日時点 で公式ページを直接確認したものです。規約は予告なく改定されます。利用の前に必ず各社公式ページの最新表示をご自身で確認してください。

「AIで芸能人そっくりの動画を作るのは規約違反になるのか」——検索しても法律の一般論ばかりで、どのサービスの規約が何を禁止しているのかが分かりません。この記事はその一点だけを扱い、各社公式規約から該当条項を条文単位で並べました。

※ 本記事は各社の公開規約テキストの読解のみで構成しています。各サービスが実際にどこまで生成をブロックするかは検証していません(2026年8月21日時点で未実測)。

※ 本記事は法的なアドバイスではありません。扱うのは「各社の規約に何と書いてあるか」だけで、具体的な使い方が適法かどうかの判断はしていません。法的判断は専門家にご相談ください。

先に結論——共通するのは「なりすまし禁止」、分かれるのは「同意」と「開示」

2026年8月21日時点で公式ページの条文を確認できた7サービスすべてが、「他人になりすます(impersonate)」ことを禁止していました。ここは共通です。

分かれるのは次の2点。

  1. 本人の同意を条文で要求しているか。アバター系の HeyGen と Synthesia、そして PixVerse は、実在の人物を扱うなら本人の許諾が要る趣旨を明文で書いています。一方 Runway は「他人の権利(right of publicity を含む)を侵害しない」という一般条項にとどまります。
  2. AI生成である旨の開示を義務づけているか。HeyGen と Luma は、条文で開示を求めています。Luma に至っては人物が写った出力に限って開示義務を課す書き方です。

なお「実在の人物」「有名人」と条文に名指ししていたのは PixVerse と Luma のみで、残りは「なりすまし」「パブリシティ権」といった一般語です。

【比較表】7サービスの「実在の人物」関連条項

すべて2026年8月21日に公式ページを直接読んで作成。 条項位置と出典URLを各行に付記。

サービス実在の人物について規約が定めていること本人の同意を明文で要求AI生成の開示義務根拠ページと条項位置
HeyGen本人の同意なく個人の画像をアップロードすることを禁止例に明記。無許諾のなりすまし生成も個別に禁止ありあり(配布時に事前開示)利用規約 第2条 の禁止行為リスト(Last Updated: July 23, 2026)heygen.com/terms
Synthesiaアバターの肖像・声の利用を管理する義務を利用者側に課す。カスタムアバターは本人の適切な同意が前提あり規約上の明文なしAcceptable Use Policy「GENERAL REQUIREMENTS」ほか(Last Updated: February 23, 2024)synthesia.io/legal/acceptable-use-policy
PixVerse「実在の人物・有名人・ブランド・キャラクター」を名指しし、外部共有前の許諾取得を要求あり(外部共有時)規約上の明文なし利用規約 4.3「External Sharing」・5「Usage Standards」(Updated on May 7, 2026)pixverse.ai/terms-of-service
Luma(Dream Machine)ディープフェイク作成を名指しで禁止。人物が写る写真に専用節あり入力素材の権利・同意の取得を保証させる形あり(人物を識別・類似させる出力)利用規約「Customer Obligations」「Specific Rules for Photographs and Images」(Last updated: May 14, 2026)lumalabs.ai/legal/tos
Runwayパブリシティ権を含む他人の権利の侵害となりすましを禁止。実在の人物への名指し言及なし明文なし明文なし利用規約 5「USER CONDUCT」(i)(v)(Last updated May 11, 2026)runway.com/terms-of-use
Kling AIなりすまし・虚偽の身元表示を禁止。肖像権侵害の申告窓口を別途規定明文なし明文なし利用規約 2(b)(iii)・3(i)・6.1(Last Updated Date: 2026/04/21)kling.ai/docs/user-policy
Google(Veo・Gemini)「欺く目的で、自分ではないと明かさずになりすます」ことを禁止。同意なき生体データ利用も禁止法が同意を義務づける場面に限定出所を偽ることを禁止生成 AI の使用禁止に関するポリシー(最終更新日: 2024年12月17日)policies.google.com

アバター系2社は「本人の同意」を条文で求める——HeyGen・Synthesia

差が最もはっきり出るのがアバター系です。人物の見た目と声を再現する用途を主力にする HeyGen・Synthesia は、条文の要求水準が明確に高くなっています。

HeyGen の利用規約は、禁止行為の一つとして「本人の同意なく個人の画像をサービスにアップロードすること」を括弧書きで例示しています(第2条の禁止リスト)。

“invasive of privacy or publicity rights (including, but not limited to, uploading images of individuals to the Services without their consent)”

同じリストの別項目では、権限のない入力素材を使って他人になりすます出力を「作ろうとした行為」自体も禁止しています(“Impersonate, or attempt to impersonate, somebody else using the Services without their authorization, including by providing User Input that you do not have authority to use to create User Output”)。

加えて HeyGen は開示義務も課しています。出力を他者に配布する場合、AI技術で作られたものだと事前に明かすよう求めており(“you must proactively disclose that such User Output was created using artificial intelligence technologies”)、条文レベルで開示を求めていたのは今回確認した7社のうち HeyGen と Luma だけでした。

Synthesia は、利用者側に「アバターの利用を管理する責任」を課す形で書いています。Acceptable Use Policy「GENERAL REQUIREMENTS」が、声と肖像の利用を含めてアバターの使い方を管理し個人の権利・利益が尊重されるようにする義務を課し、ストックアバター(実在の俳優ベース)で本人の意見・特性・症状を持つと視聴者に思わせる使い方は企業向けプランのみ、カスタムアバターは本人の適切な同意がある場合に限ると条件づけています。ニュース番組・政治キャンペーンでのストックアバター利用も Synthesia の書面同意が必要です。

なお Synthesia には、勝手に自分の顔や情報を使われた側からの申告窓口が別文書にあります。Content Integrity Policy「Privacy Takedown Process」で、氏名・該当URL・含まれる個人情報を添えて [email protected] へ連絡する手順が明記されていますが、使えるのは個人のみで組織・企業は対象外です。

「実在の人物」を名指ししていたのは PixVerse と Luma

条文中に「real people」「celebrities」といった語が出てくるのは、確認できた範囲ではこの2社でした。

PixVerse の利用規約 4.3「External Sharing」には「Public figures or third-party IP」という小見出しがあり、コンテンツに識別可能な実在の人物・有名人・ブランド・キャラクターなどが含まれる場合、外部に共有する前に必要な許諾を得ておくことを求めています。条文の適用場面は「外部への共有時」に置かれており、プラットフォーム内での生成そのものには言及していません。PixVerse は別途 5「Usage Standards」で、本人の同意なく性的なコンテンツを他人について作成・配布することも禁止しています。

Luma の利用規約は「create deepfakes or similarly deceptive Output」を名指しで禁止しています。「Customer Obligations」節の、欺瞞的・詐欺的・濫用的な目的での利用を禁じる項目の中に、なりすましや政治的操作、出力の出所を偽ること、人間が作ったものだと偽ることの禁止と並んで置かれています。

Luma で特徴的なのは「Specific Rules for Photographs and Images」という独立した節で、他社に見られない規定が2つあります。一つは、人物が写った写真をアップロードすると、写っている本人(およびその後見人・相続人など)に対して、その写真を個人利用や各種オンラインサービスで複製・配布・公開表示できるライセンスを利用者側が与えたことになるという規定です(第三者の商品宣伝には使えず、被写体側による画像販売も不可)。もう一つが開示義務で、人物を識別できる、あるいは人物に似ている出力を使う場合、それがAI生成であることを公に示すと条文で定めています。人物が関わるときだけ開示義務が発生する構造で、確認した中では Luma だけの書き方でした。

出力にAI生成であることを示すラベルやタグを付ける実務側の手段としては、ブラウザ内で処理が完結し画像にはXMPタグ、動画にはコンテナタグを書き込む DiscloseTag のようなツールもあります。

Runway と Kling は「なりすまし」中心の一般条項

対照的に、生成モデル側を主力とする2社は、実在の人物を名指しせず一般条項で処理しています。

Runway の利用規約は 5「USER CONDUCT」に禁止行為をまとめています。実在の人物に関係するのは (i) と (v) の2箇所で、(i) は特許・商標・営業秘密・著作権・パブリシティ権その他あらゆる人・団体の権利を侵害するコンテンツを禁止する項目、(v) は人や団体になりすますことを禁じる項目です。「実在の人物を出してよいか」はパブリシティ権など各国の法律の解釈に委ねられる構造で、HeyGen のような「同意なしでのアップロード禁止」に相当する条項は本文には見つかりませんでした

Kling AI も同様の作りです。アカウント登録の条項 2(b)(iii) に「you must not impersonate or attempt to impersonate another person」、禁止行為の 3(i) になりすましや所属の虚偽表示を禁じる項目があります。目を引くのは 6.1 で、著作権・商標に加えて肖像権(portrait rights)・名誉権・プライバシー権を明示的に挙げ、侵害を受けたと考える場合の申告経路を規定しています。禁止条項ではなく、被害を受けた側の救済窓口として肖像権に触れている点が特徴です。

なお Kling には Community Guidelines という別ページがありますが、本記事の確認時点では本文を取得できず、実在の人物に関するより具体的な規定がそちらにある可能性は否定できません。ここで扱ったのは利用規約本文のみです。

Google(Veo・Gemini)は「欺く目的」が条件になっている

Google の「生成 AI の使用禁止に関するポリシー」は日本語版が公開されており、日本語で条文を読める数少ない一次資料です(最終更新日: 2024年12月17日)。Veo を含む Google の生成AI製品に適用され、実在の人物に関係するのは主に3箇所です。

  1. 「人々を欺くことを目的に、(生者であるか死者であるかを問わず)それが自分ではないと明かさずになりすます」ことの禁止。故人も明示的に対象に含めている点が特徴です。
  2. 「本人の同意なく作成された親密な状況のシナリオ・画像・動画」を助長するコンテンツの禁止。
  3. 「法律で義務付けられている同意を得ずに個人データや生体認証データを使用している」ことを、他者の権利侵害の例として挙げる規定。

読み落としやすいのが 1 の条件部分です。Google の条文では、なりすまし禁止に「人々を欺くことを目的に」という限定が付いています。無条件の禁止ではなく目的要件が入った書き方で、「人間によってのみ作成されたコンテンツであると主張し、生成されたコンテンツの出所を偽る」ことの禁止にも同じ限定が付いています。ポリシー末尾には、教育・記録・科学・芸術の観点や社会的利益が有害性を上回る場合には例外を設けることがある、との一文もあります。

公開ページで条項を確認できなかった3サービス

条文を直接読めなかったサービスです。推測で「禁止している/していない」とは書きません。試したURLと結果だけを記載。

サービス試したURL結果(2026年8月21日)
OpenAI(Sora)openai.com/policies/usage-policies/ ほか、日本語版パスとヘルプセンター記事いずれも HTTP 403 が返り、本文を取得できませんでした
Pikapika.art/terms-of-serviceページは応答しますが規約本文が配信されず、条文を読めませんでした
Adobe(Firefly)日本語の生成AIユーザーガイドラインページ本記事の確認環境から接続を確立できませんでした

「確認できなかった」は「禁止していない」という意味ではありません。 使う場合はログイン後の規約表示やアプリ内のポリシー画面をご自身で確認してください。

この記事が扱っていないこと

軸の違う話が3つあります。混同は判断ミスにつながります。

料金・機能の比較は 動画生成AIおすすめ比較 にあります。

よくある質問

Q1. 有名人に「似ている」だけの人物なら規約違反になりませんか?

各社の規約は「似ている度合い」の基準を数値で示していません。ただし Luma は「人物を識別できる、または人物に似ている(resembles)出力」という書き方で似ている段階を条文の射程に入れており、PixVerse も「recognizable real people」(認識できる実在の人物)という表現です。「そっくりだが別人」という整理が規約上通用する保証はありません。

Q2. 自分の顔なら自由に使えますか?

自分自身の肖像を使う場合、他人の権利を侵害する条項には触れません。ただし Luma の利用規約には、人物が写った写真をアップロードすると写っている本人側に一定の利用ライセンスが発生する規定があります(2026年8月21日確認)。自分が写っている写真でも規約上どのような権利関係になるかは事前に読んでおく価値があります。

Q3. 個人で楽しむだけなら規約の対象外ですか?

確認した条文の中に「個人利用なら適用しない」と書いているものはありませんでした。なりすまし禁止条項はいずれも利用目的で範囲を限定していません。ただし Google のポリシーは「人々を欺くことを目的に」という条件付き、Synthesia は明確にラベル付けされた社内研修・教育・ロールプレイ用途を制限する意図はないと本文で述べています。目的や公開範囲の扱いは会社ごとに違うため、使うサービスの条文を個別に読む必要があります。

Q4. 故人を再現する動画は規約上どう扱われますか?

明示的に触れていたのは Google です。なりすまし禁止の条文が「(生者であるか死者であるかを問わず)」と括弧書きで故人を対象に含めています。他の6社の条文には故人を明示的に区別する記述は見つかりませんでした(2026年8月21日確認)。

まとめ

2026年8月21日に7社の公式規約を読んだ結果、なりすまし禁止は全社共通本人の同意を明文で求めるのはアバター系と PixVerseAI生成の開示を条文で課すのは HeyGen と Luma、という3層の違いが確認できました。「実在の人物」「有名人」と条文に名指しで書いていたのは PixVerse と Luma だけです。

OpenAI(Sora)・Pika・Adobe の3サービスは、本記事の確認時点では公開ページから条文を読み取れませんでした。この3社について「禁止している/していない」の判断はしていません。

規約は改定されます。この記事の内容は2026年8月21日時点の読解であり、実際に使う前には各社の最新表示をご自身で確認してください。本記事は各社の規約の記述を整理したものであり、法的なアドバイスではありません。