本記事にはプロモーションを含む場合があります。仕様・ライセンスは 2026年8月26日時点 に公式の Hugging Face モデルカード と GitHub リポジトリ(Lightricks/LTX-2) を参照した内容です。更新が非常に速いモデルのため、導入前に必ず最新の公式表示をご確認ください。
「オープンソースの動画生成AIで、音声付き・複数カットの動画を自分のマシンで作れないか」——その候補として2026年8月時点で最も新しい選択肢が、Lightricks が公開する LTX-2.5 です。先に結論を言うと、 年間収益1000万ドル(約16.1億円、1ドル=161円換算)未満の個人・組織なら、商用利用まで含めて無償で使えます。そして機能面の最大の新要素は、 複数カットをまたいでキャラクター・環境・照明・声を保つ「マルチショット生成」を1回の生成でこなせることです(いずれも2026年8月26日にモデルカードで確認)。
ただし軽いモデルではありません。本体の DiT(拡散トランスフォーマー)は 22B(220億)パラメータ、テキストエンコーダだけで 12B。公式配布ファイルを合計すると 200GB を超えます。この記事では商用利用条件・できること・必要環境・導入手順の4点を、公式ドキュメントの記載だけで整理します。
※ 実測後に更新します(2026年8月26日時点で未検証)。本記事は公式モデルカード・GitHub README・ライセンス条文の掲載内容を同日に確認して整理したもので、当サイトが GPU を用意して LTX-2.5 を動かした生成結果は含みません。
結論:LTX-2.5 は「音声付きマルチショット動画」を作れるオープンウェイトモデル
要点を先にまとめます(2026年8月26日、公式モデルカード確認)。
| 項目 | 公式ドキュメントの記載 |
|---|---|
| 開発元 | Lightricks(LTX-Video 系列の最新版) |
| できること | テキスト/画像/動画からの動画生成(T2V・I2V・V2V)、 映像と音声の同時生成 |
| 新機能 | マルチショット生成(複数カットでキャラ・環境・照明・声・スタイルを保持) |
| モデル規模 | DiT 22B + テキストエンコーダ Gemma 4 12B |
| フレーム数 | 「8で割って1余る」数のみ指定可(1, 9, 17, …, 121)。省略すれば自動決定 |
| 解像度 | 幅・高さとも 32の倍数 が必須 |
| ライセンス | LTX-2 Community License Agreement(年間収益1000万ドル未満は商用利用も無償) |
| 動かし方 | 公式 ltx-pipelines(PyTorch)/ComfyUI 公式テンプレート/Diffusers の3ルート |
このモデルが向くのは、 クレジット課金なしで動画生成を回したい人・自前インフラに組み込みたい人です。逆に「まず1本試したいだけ」なら、後述のとおりローカル導入のハードルは高いので、公式のオンラインプレイグラウンドやクラウドサービス経由が現実的です。
商用利用条件——線引きは「年間収益1000万ドル」
オープンソース系モデルの記事で最も間違いが多いのがライセンスです。ここは一次情報だけで書きます。
LTX-2.5 のライセンスは LTX-2 Community License Agreement で、条文の全文は GitHub の LICENSE.md にあります。モデルカードの表示(2026年8月26日確認)を整理すると次のとおりです。
- 年間収益1000万ドル未満の個人・組織: 商用利用・本番利用(production use)を含めて無償。モデルカードには「Commercial and production use at no cost under the LTX-2.x Community License」と明記されています。
- 年間収益1000万ドル以上の組織:有償の Commercial Use Agreement の締結が必要。フルウェイト・エンジニアリングサポート・LoRA・柔軟なデプロイ形態が含まれる契約として案内されています。
- 収益の数え方:モデルカードに「Revenue is measured across the whole entity, including subsidiaries and affiliates under common control」とあり、 子会社・共通支配下の関連会社まで含めた事業体全体で判定されます。大企業の一部門が「うちの部署は小さいから」と無償枠を使うことは想定されていません。
- ファインチューンの扱い:ファインチューンした重みの第三者への移転(transfer)は、有償ライセンスが必要になる場合があるとされています。学習させたモデルを配布・販売する予定がある場合は、条文の該当箇所を必ず確認してください。
つまり、日本の個人クリエイターや小規模スタジオがクライアントワークや収益化動画に使う分には、2026年8月26日時点の表示を読む限り無償の範囲に収まります。ただし当サイトは法的助言はできません。事業で使う場合は LICENSE.md の原文 を直接確認するのが確実です。商用利用の一般的な注意点は動画生成AIの商用利用ガイドにまとめています。
何ができるか——公式が挙げる新機能
モデルカードの「What’s new in LTX-2.5」(2026年8月26日確認)から、利用者に直接関係する項目を挙げます。
- マルチショット生成(Native multishot generation):従来版は1つの連続ショットしか作れませんでしたが、LTX-2.5 はつながった複数シーンを1回の生成で出力し、カットをまたいでキャラクターの同一性・環境・照明・声・画風を保ちます。短編ドラマや MV のように「カット割りのある動画」を作りたい人には最大の変更点です。
- 映像+音声の同時生成:音声用の VAE を持ち、テキスト→音声付き動画、画像→音声付き動画までタグ上で対応が明示されています。
- 新しい拡散ビデオデコーダ:従来の VAE 再構成段を置き換え、顔・質感・画面内文字がより鮮明になり、動きの破綻が減ったとされています。
- Gemma 4 12B ベースの専用テキストエンコーダ:複数キャラクター・カメラワーク・照明・動作が混在する長い指示を取りこぼしにくくなったとされています。プロンプトを膨らませる Prompt enhancer も付属します。
- 長さの自動決定(Duration predictor):フレーム数を指定しなければ、プロンプト内容からクリップの長さを自動で決めるオプション機構が使えます。
さらに、 HDR にも対応しています(2026年8月26日に GitHub README で確認)。README には「Native HDR / EXR」という機能項目があり、標準パイプラインは EXR 静止画・EXR フレームフォルダを入力として受け付け、--hdr オプション(SRGB_LINEAR/ACESCG/ACESCCT)を指定すると half EXR フレームと BT.2020/HLG マスターを書き出す、と明記されています。HDR ワークフローの詳細は、リポジトリ内の専用ドキュメント(packages/ltx-pipelines/docs/hdr.md)にまとめられています。
制約面で公式が明記しているのは2つ。フレーム数は 「8n+1」の数に限定(1, 9, 17, …, 121 のような数)で、 解像度は幅・高さとも32の倍数が必須です。公式の Diffusers サンプルは 960×544・121フレーム・24fps を第1段階とし、第2段階でその2倍の解像度に引き上げる2段構成になっています。
モデル構成と必要環境——公式は「最低VRAM」を明記していない
導入判断でいちばん知りたい「VRAM は何GB必要か」について、先に正直に書きます。 2026年8月26日時点で、公式モデルカードにも GitHub README にも最低 VRAM の数値は記載されていません。あるのは省メモリ化の手段(fp8 への動的ダウンキャスト、CPU オフロード、int8/NVFP4 量子化版チェックポイント)だけです。「◯GBで動いた」という数値はコミュニティの実測情報であり、本記事では扱いません。
かわりに、確実に分かる ストレージ要件 を公式配布ファイルから整理します(2026年8月26日に Hugging Face API で取得したファイルサイズ。1GB=10億バイト換算)。
| 構成 | 含まれるファイル | 合計容量の目安 |
|---|---|---|
| 標準(distilled bf16) | DiT 42.0GB + テキストエンコーダ 26.3GB + 映像VAE 1.5GB + 音声VAE 0.4GB + 補助モデル約1.0GB | 約71GB |
| ComfyUI 向け int8 版 | DiT 21.5GB + テキストエンコーダ 15.4GB + VAE 類約1.9GB | 約39GB |
| 全ファイル | dev版・量子化版・LoRA・アップスケーラー等すべて | 約201GB |
ポイントは3つあります。
- VRAM より先にストレージを確認——標準構成だけで約71GB。SSD の空きが 100GB を切っている環境では導入自体が厳しくなります。
- 量子化版は ComfyUI 専用——
comfy-int8-convrot系ファイルは ComfyUI でのみ読み込め、公式 PyTorch パイプラインでは使えないと明記されています。NVFP4 版は NVIDIA Blackwell 世代向けです。 - 推奨環境は新しめ——モデルカードは Python 3.12 以上・CUDA 12.7 以上・PyTorch 2.7 系を推奨しています。古い環境からの流用は依存関係でつまずきやすい構成です。
22B 級を消費者向け GPU で回すのは、同じオープンウェイト系でも Wan をローカルで動かす場合の 5B モデルよりかなり重い挑戦になります。省メモリ手段があるとはいえ、 手元の GPU が 16GB 以下なら、まずオンラインのプレイグラウンドで出力品質を確かめてから投資判断をするのが安全です。
導入手順——公式パイプライン・ComfyUI・Diffusers の3ルート
公式ドキュメントが案内する動かし方は3つです(コマンドはいずれも2026年8月26日時点のモデルカード記載)。
ルート1:公式 ltx-pipelines(PyTorch・CLI)
git clone https://github.com/Lightricks/LTX-2.git
cd LTX-2
uv sync
source .venv/bin/activate
# 重みのダウンロード(Hugging Face のログインが必要)
hf auth login
hf download Lightricks/LTX-2.5 \
diffusion_models/ltx-2.5-22b-distilled-transformer-bf16.safetensors \
text_encoders/gemma4-12b-with-proj-ltx-2.5-bf16.safetensors \
vae/ltx-2.5-video-vae-bf16.safetensors \
vae/ltx-2.5-audio-vae-bf16.safetensors \
model_patches/ltx-2.5-duration-head-bf16.safetensors \
latent_upscale_models/ltx-2.5-latent-spatial-upscaler-x2-bf16-1.0.safetensors \
--local-dir models/ltx-2.5
テキストから動画を作る場合は ltx_pipelines.distilled モジュールに各ファイルのパスとプロンプトを渡して実行します。--num-frames を省略すると前述の自動決定が働き、指定するなら「8n+1」の数にします。画像から動画を作る場合は --image 画像パス 0 1.0 のように開始フレームの条件付けを追加するだけです。VRAM が足りない場合の公式の逃げ道は --quantization fp8-cast --offload cpu の2つのフラグです。
なお、モデルの重みは利用規約への同意(gated access)付きで配布されているため、ダウンロード前に Hugging Face 上でライセンスに同意しておく必要があります。
ルート2:ComfyUI(GUI 派はこちら)
公式の LTX-2.5 ワークフローテンプレートが ComfyUI に同梱されています(モデルカード記載)。ノードは ComfyUI-LTXVideo リポジトリで公開されており、前述の int8 量子化版チェックポイントを使えるのはこのルートだけです。合計容量を約39GBまで抑えられるため、ローカル導入の第一候補になります。ComfyUI 自体の導入はStable Diffusion で動画を作る手順で扱った流れと同様です。
ルート3:Diffusers(Python で組み込む人向け)
Diffusers 互換パックが Lightricks/LTX-2.5-Diffusers として別リポジトリで配布されています。ただし2026年8月26日時点では LTX-2.5 対応が diffusers の正式リリースにまだ入っておらず、GitHub の main ブランチから直接インストールする必要があります。
pip install git+https://github.com/huggingface/diffusers
公式サンプルは、第1段階で 960×544 を生成し、第2段階で潜在アップスケーラーにより2倍解像度へ引き上げる2パス構成です。CPU オフロードと VAE タイリングを有効にする行がサンプルに最初から入っている点からも、メモリ的に余裕のあるモデルではないことがうかがえます。
よくある質問
Q1. LTX-2.5 は無料で商用利用できますか?
年間収益1000万ドル未満の個人・組織であれば、2026年8月26日時点のモデルカード表示では商用利用・本番利用とも無償です。収益は子会社等を含む事業体全体で判定され、1000万ドル以上の場合は有償の Commercial Use Agreement が必要です。ファインチューンした重みを第三者へ移転する場合は有償ライセンスが必要になる場合があるため、該当する人は LICENSE.md の原文確認をおすすめします。
Q2. どのくらいのPCスペックが必要ですか?
公式は最低 VRAM を明記していません(2026年8月26日時点)。確実に言えるのはストレージ要件で、標準構成の重みだけで約71GB、ComfyUI 向け int8 版でも約39GBです。推奨ソフトウェア環境は Python 3.12 以上・CUDA 12.7 以上・PyTorch 2.7 系。GPU に余裕がない場合は fp8 ダウンキャストと CPU オフロードという公式オプションがありますが、生成速度とのトレードオフになります。
Q3. インストールせずに試す方法はありますか?
あります。公式モデルカードがオンラインの API プレイグラウンドを案内しており、ブラウザだけで LTX-2.5 の生成を試せます。まず出力品質を確かめてからローカル導入を検討する順番が、ストレージ・時間の投資を無駄にしません。クラウド型サービスとの比較検討には動画生成AIの比較ガイドもどうぞ。
LTX-2.5 は「音声付きマルチショット動画をオープンウェイトで、小規模事業者なら無償商用利用できる」という点で、2026年8月時点のオープンソース動画生成の中でも突出した存在です。一方で 22B 級の重さは本物で、気軽に試すモデルではありません。同じオープンウェイト路線では MiniMax H3 や Wan のローカル実行も選択肢になるので、自分の GPU とストレージに合わせて選んでください。