本記事にはプロモーションを含む場合があります。仕様・ライセンスは 2026年8月17日時点 に公式リポジトリ・モデルカード・ライセンス条文を参照した内容です。更新が速い領域のため、導入前に必ず最新の公式表示をご確認ください。
「クラウドの動画生成AIはクレジットが減る。手元の Stable Diffusion で動画生成までやれないのか」——そう調べ始めると AnimateDiff と SVD(Stable Video Diffusion) という2つの名前に行き当たり、必要スペックの説明も記事ごとにバラバラです。
先に結論です——この2つは同じ「Stable Diffusion 系の動画化」でも中身が別物で、選び分けの基準は「テキストから動かしたいか、手元の静止画1枚を動かしたいか」の1点に集約されます。VRAM も条件次第で大きく変わります——SD1.5 + AnimateDiff・512×512・16フレームの条件で、最適化なしなら 12.13GB、xformers/sdp を有効にすると 4.21GB です(拡張の公式ドキュメント、2026年8月17日参照)。
そして導入後に気づくと戻れないのがライセンスの3層構造です。画像モデル・動画の重み・動かすソフトで条件が別々に効きます。
※ 実測後に更新します(2026年8月17日時点で未検証)。本記事は公式リポジトリの README・モデルカード・ライセンス条文、および GitHub / Hugging Face の API 応答を同日に確認して整理したものです。当サイトが GPU を用意して生成した結果は含まず、VRAM・容量の数値はすべて公式が公表している値をそのまま引用しています。
結論:AnimateDiff と SVD は別物——1枚で選び分ける
| AnimateDiff | SVD(Stable Video Diffusion) | |
|---|---|---|
| 入力 | テキスト(SD の画像モデルと組み合わせ) | 静止画1枚 |
| 正体 | 既存の SD1.5/SDXL チェックポイントに差し込む「モーションモジュール」 | Stability AI が公開する動画専用モデル |
| テキストでの制御 | できる(SD 側のプロンプトが効く) | できない(モデルカードに明記) |
| 標準の出力 | 16フレーム(拡張の既定設定) | 25フレーム・576×1024 |
| 重みのライセンス | Apache-2.0 | Stability AI Community License |
| 重みの容量 | 1ファイル 0.95〜1.99GB | 9.5〜9.56GB(単一ファイル版) |
出典:guoyww/AnimateDiff の README、SVD のモデルカード、および両者の Hugging Face API 応答(いずれも2026年8月17日取得、1GB=10億バイト換算)。AnimateDiff の容量欄はモーションモジュール本体のみで、LoRA/Adapter 類の小さいファイル(0.10GB)は含みません。
- 手持ちのイラスト系 SD1.5 チェックポイントの絵柄のまま動かしたい → AnimateDiff。絵柄は今使っているモデルが決め、AnimateDiff は「動き」だけを足します。
- すでにある1枚の画像を、そのまま数秒動かしたい → SVD。ただしモデルカードの Limitations に「The model cannot be controlled through text.」と書かれているとおり、プロンプトで動きを指示することはできません。
テキストから動かしたいなら選択肢は AnimateDiff 側で、SVD は画像→動画の専用機です。用語の整理は動画生成AI用語辞典にまとめてあります。
必要VRAM——公式が公表している数値だけを並べる
「AnimateDiff は VRAM 12GB 以上」という説明をよく見ますが、その数字がどの条件で測られたものかを合わせて読む必要があります。A1111 拡張の公式ドキュメント(docs/performance.md)の計測表が最も具体的です。
SD1.5 + AnimateDiff(Ubuntu 22.04・NVIDIA 4090・torch 2.0.1+cu117・512×512・16フレーム):
| 最適化 | VRAM(Batch cond/uncond 有効) | VRAM(無効) |
|---|---|---|
| 最適化なし | 12.13GB | ― |
| xformers/sdp | 5.60GB | 4.21GB |
| sub-quadratic | 10.39GB | ― |
同じドキュメントには別条件の数値も併記されています。
- SDXL + HotShot + SDP(512×512・8フレーム)→ 8.66GB
- SDXL + AnimateDiff + SDP(1024×768・16フレーム)→ 13.87GB
本家リポジトリも SDXL-Beta のモーションモジュールについて README に「Inference usually requires ~13GB VRAM and tuned hyperparameters」と書いています。よく見る「12GB」は最適化なしの数値で、解像度とフレーム数を上げれば素直に増える、という読み方になります。
いっぽう SVD は、モデルカードにも公式リポジトリにもVRAM の推奨値が明記されていません(2026年8月17日時点)。重みは svd_xt.safetensors が 9.56GB、diffusers 形式の UNet が fp16 で 3.05GB です。公式に数値がない以上、本記事では「SVD の必要VRAMは◯GB」とは書きません。
ストレージ——重みは意外と軽い
モーションモジュールは Hugging Face の guoyww/animatediff から取得します(容量は2026年8月17日に API で確認)。
| ファイル | 役割 | 容量 |
|---|---|---|
mm_sd_v15_v2.ckpt | SD1.5 用 v2(MotionLoRA 対応) | 1.82GB |
v3_sd15_mm.ckpt | SD1.5 用 v3 | 1.67GB |
v3_sd15_sparsectrl_rgb.ckpt | SparseCtrl(RGB画像条件) | 1.99GB |
mm_sdxl_v10_beta.ckpt | SDXL 用ベータ | 0.95GB |
mm_sd_v14.ckpt と mm_sd_v15.ckpt も 1.67GB、v3_sd15_adapter.ckpt(Domain Adapter LoRA)は 0.10GB です。リポジトリのライセンス表記は apache-2.0、最終更新は2023年12月18日でした。Wan をローカルで動かす記事で扱った動画専用モデルが1本120GB超だったのと比べると、AnimateDiff は「動きだけ」を足す設計なので、重みが 桁違いに軽い のが特徴です。ただし土台となる SD1.5/SDXL のチェックポイントは別途必要になります。
AnimateDiff の導入——ルートは3つ、保守状況で選ぶ
日本語の解説は A1111(AUTOMATIC1111 WebUI)拡張前提のものが多いのですが、2026年8月17日時点で各ルートの更新が止まっている/続いている度合いは大きく違います。GitHub API で同日に取得した最終 push 日です。
| ルート | リポジトリ | ライセンス | 最終 push |
|---|---|---|---|
| ComfyUI 拡張 | Kosinkadink/ComfyUI-AnimateDiff-Evolved | Apache-2.0 | 2026年7月28日 |
| A1111/Forge 拡張 | continue-revolution/sd-webui-animatediff | CC BY-NC-SA 4.0(非商用) | 2024年9月22日 |
| 本家リポジトリ | guoyww/AnimateDiff | Apache-2.0 | 2024年7月31日 |
A1111 拡張の前提バージョンには注意点があります。「WebUI 1.5.0 以降」と説明されることがありますが、README が現行 v2.0.0-a(2024年3月2日)の Prerequisite に挙げているのは「WebUI >= 1.8.0 & ControlNet >=1.1.441 & PyTorch >= 2.0.0」です。1.5.0 では条件を満たしません(A1111 WebUI 本体の最新リリースは v1.10.1・2025年2月9日なので、条件自体は素直に満たせます)。Forge の場合、README は forge/master ブランチか sd-forge-animatediff を指定しています。
ComfyUI ルートの導入は、公式 README では次の流れです(README の記載の要約で、当サイトの手順書ではありません)。
- ComfyUI Manager で
AnimateDiff Evolved(作者Kosinkadink)を入れる。手動ならcustom_nodesに clone する。 - モーションモジュールを最低1つダウンロードし、
ComfyUI/models/animatediff_modelsに置く。 - 必要なら MotionLoRA を
ComfyUI/models/animatediff_motion_loraに置く。
ComfyUI 本体は最新リリース v0.33.1(2026年8月13日)、最終 push が2026年8月16日で、3ルートのなかで唯一エコシステム全体が現在も動いています。
SVD の導入——重みは Hugging Face、動かすのは ComfyUI か公式リポジトリ
SVD は Stability AI が2023年11月20日に Hugging Face へ公開したモデルで、モデルカードの最終更新は2024年7月10日です(2026年8月17日に API で確認)。25フレーム版(img2vid-xt)は 576×1024 で、14フレーム版のファインチューンにあたると書かれています。動かす経路は主に2つです。
- 公式リポジトリ:モデルカードが研究用途向けに Stability-AI/generative-models を挙げています。ライセンスは MIT、最終 push は2025年12月16日です。
- ComfyUI:公式のサンプル集(ComfyUI_examples)が、14フレーム版の
svd.safetensorsと25フレーム版のsvd_xt.safetensorsをComfyUI/models/checkpointsフォルダに置くよう案内しています。ワークフローの JSON も同ページで配布されています。
期待値の調整として、モデルカードの Limitations も見ておくと落差が小さくなります。原文では「The generated videos are rather short (<= 4sec)」「The model cannot render legible text.」と明記されています。つまり4秒以下・テキスト制御なし・文字は読める形に描けない、というのが公式自身の説明です。
ライセンスは3層——「動かす自由」と「商用の可否」は別レイヤー
ここが最も誤解されやすい部分です。1つのライセンスで全部が決まるのではなく、3つの層がそれぞれ独立に効きます。
| 層 | 対象 | 条件(2026年8月17日確認) |
|---|---|---|
| ① 土台の画像モデル | SD1.5 チェックポイント等 | stable-diffusion-v1-5 の Hugging Face 表記は creativeml-openrail-m |
| ② 動画の重み | AnimateDiff モーションモジュール | Apache-2.0 |
| SVD(img2vid-xt) | Stability AI Community License | |
| ③ 動かすソフト | ComfyUI 本体 | GPL-3.0 |
| ComfyUI-AnimateDiff-Evolved | Apache-2.0 | |
| sd-webui-animatediff(A1111/Forge 拡張) | CC BY-NC-SA 4.0(非商用) |
②の SVD 側は「Stability AI Community License Agreement(Last Updated: July 5, 2024)」が収益規模で線を引いています。原文は「this Agreement preserves free access to the Models for people or organizations generating annual revenue of less than US $1,000,000 (or local currency equivalent).」です。商用目的では stability.ai/community-license での登録を求めており、年間売上が US $1,000,000(当サイト統一レート 1ドル=161円で約1.61億円)を超えた時点で許諾は終了し、別途エンタープライズライセンスの申請が必要になる、と書かれています。
③の A1111/Forge 拡張については、README 冒頭に作者自身の但し書きがあります。原文は「I have recently added a non-commercial license to this extension.」で、LICENSE ファイルも「Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International」で始まります。つまりAnimateDiff の重み自体は Apache-2.0 でも、A1111 拡張という経路ではソフト側に非商用条件が乗るという構造です。ComfyUI-AnimateDiff-Evolved 側は Apache-2.0 です。
商用利用の判断材料をサービス横断で整理したものは商用利用できる動画生成AIまとめにあります。なお、各プラットフォームへ出す際の AI 開示ラベルはライセンスとは別の話で、画像の XMP タグや動画のコンテナタグを書き込むツールには DiscloseTag のような選択肢があります(ブラウザ内でのローカル処理を掲げ、/check でタグの有無を確認できるとしています。2026年7月28日確認)。
ローカルが厳しいときの現実的な線引き
ここまでの数値をまとめると、ローカル導入が現実的に成立するのは「SD1.5 系 + AnimateDiff + xformers/sdp + 512×512」までで、SDXL や高解像度に踏み込むと 14GB 級の VRAM が要ります(いずれも公式計測値ベース)。加えて AnimateDiff は本家も A1111 拡張も2024年で更新が止まり、新しい機能は ComfyUI 側にしか来ていません。
- ローカルの別系統として動画専用のオープンソースモデルを試すなら、Wan をローカルで動かす記事が比較対象になります(必要VRAMの桁が違います)。
- クラウド側の選択肢は動画生成AIおすすめ比較に、複数モデルを1契約で呼べる集約型は集約型の動画生成AI 3社比較にまとめています。
よくある質問
Q1. VRAM 8GB のGPUでも動きますか
公式の計測表の条件(SD1.5 + AnimateDiff・512×512・16フレーム・xformers/sdp)では 4.21〜5.60GB なので、数値の上では 8GB 帯に収まります。ただしこれは NVIDIA 4090 での計測値で、GPU 世代や同時に動く他のプロセスで実際の消費は変わります。当サイトは8GB環境での実測をしていないため、動作を保証する書き方はしません(2026年8月17日時点)。
Q2. SVD にプロンプトで動きを指示できますか
できません。モデルカードの Limitations に「The model cannot be controlled through text.」と明記されています(2026年8月17日確認)。SVD への入力は静止画1枚で、テキストで演出を指定したい場合は AnimateDiff 側かクラウドサービスが対象になります。
Q3. 生成した動画を商用で使えますか
3層すべてを確認する必要があります。AnimateDiff のモーションモジュールは Apache-2.0、SVD は年間売上 US $1,000,000 未満なら Stability AI Community License の範囲で商用利用が可能(登録が必要)と条文にあります。いっぽう A1111/Forge 拡張は CC BY-NC-SA 4.0 の非商用ライセンスです。土台の SD1.5 系チェックポイントは配布元ごとに条件が異なるため、使うモデルの配布ページを個別にご確認ください。
Q4. Wan と AnimateDiff はどちらを選ぶべきですか
必要な GPU の桁が違います。Wan の公式 README がコマンド例に付記している最低VRAMは、消費者向けGPUを想定した TI2V-5B で 24GB、14B 級では 80GB です(Wan の記事参照)。対して AnimateDiff は SD1.5 系・512×512 なら公式計測で 4〜12GB 台です。手持ちの GPU が 12GB 以下なら AnimateDiff 系、24GB 以上あるなら動画専用モデルも視野に入ります。