本記事にはプロモーションを含む場合があります。仕様・ライセンスは 2026年8月1日時点 に公式リポジトリ Wan-Video/Wan2.2Hugging Face の Wan-AI を参照した内容です。更新が速い領域のため、導入前に必ず最新の公式表示をご確認ください。

「クラウドの動画生成AIは1本ごとにクレジットが減る。自分の PC で回せないのか」——候補になるのが Wan(アリババの通義グループが公開するオープンソースの動画生成モデル) です。ローカルで動かすことは可能ですが、「どのモデルを選ぶか」で必要な GPU が倍以上変わります。公式 README には VRAM の数字が2系統あり、コマンド例の注記は 14B 級(T2V/I2V/S2V)が 80GB、5B の TI2V-5B が 24GB、公式の計測表では単一GPUのピークが 22.8〜59.8GB です。どちらで読んでも、コンシューマー向け GPU で現実的に動く選択肢は TI2V-5B の一択 です(2026年8月1日時点)。

もう1つ、クラウド画面に出る「Wan 2.6」のような版番号と、ダウンロードできる重みのバージョンは別物です。この記事はVRAM・ストレージ・依存関係・ライセンスに絞ります。

※ 実測後に更新します(2026年8月1日時点で未検証)。本記事は公式リポジトリ・モデルカード・ライセンス条文を同日に確認して整理したもので、当サイトが GPU を用意して Wan を動かした結果は含みません。

結論:ローカルで現実的に動くのは「TI2V-5B + VRAM 24GB」だけ

公式 README の記載を GPU 側の要求という観点で1枚にすると次のとおり。VRAM 欄はREADME がコマンド例に付記している目安で、当サイトの推定値ではありません(もう1系統の公式計測表は後述)。

モデル用途コマンド例の注記(最低VRAM)対応解像度重みの容量
Wan2.2-TI2V-5Bテキスト/画像→動画24GB(RTX 4090 が例示)720P(24FPS)約34.2GB
Wan2.2-T2V-A14Bテキスト→動画80GB480P・720P約126.2GB
Wan2.2-I2V-A14B画像→動画80GB480P・720P約126.2GB
Wan2.2-S2V-14B音声→動画80GB480P・720P約49.1GB
Wan2.2-Animate-14B動作の転写・置換README に単一GPUの数値記載なし約72.4GB
Wan-Dancer-14B音楽→ダンス動画README は8枚構成のテスト環境のみ720p/30fps約85.7GB

容量欄は Hugging Face の API が返すファイルサイズ合計です(2026年8月1日取得、1GB=10億バイト換算)。要点は3つ。

  1. 80GB VRAM は個人の PC では現実的ではありません(業務用アクセラレータか複数GPU構成が前提)。
  2. TI2V-5B だけが消費者向けGPUを明示的に想定。README も「can also run on consumer-grade graphics cards like 4090」と書いています。
  3. VRAM より先にストレージが詰まります。14B 級は1モデル 120GB 超。

「ローカルで動く Wan」は 2.2 系まで——クラウドの版番号と混同しない

Wan という名前は、①ダウンロードできる重み、②その名を冠してクラウドが提供する生成機能——の2文脈で使われ、この2つはバージョンが揃っていません

2026年8月1日に Hugging Face の Wan-AI 組織を API で一覧したところ、公開モデルは 24件、内訳は Wan2.1 系(2025年2〜6月作成)・Wan2.2 系(2025年7〜11月作成)・Wan-Dancer-14B(2026年7月10日作成)。最新は Wan2.2 系で、2.3 以降の番号を持つ重みはありません。GitHub の Wan-Video 組織も同日時点でリポジトリは Wan2.1・Wan2.2・Wan-Dancer・Wan-skills・diffusers の5つ、すべて Apache-2.0 です。

いっぽうクラウド側では、より新しい版番号が出ることがあります。当サイトが2026年7月28日に Higgsfield の料金ページを見たときも、モデル一覧に「Wan 2.6」がありました(Higgsfield の使い方と料金)。その 2.6 の重みは公式 GitHub にも Hugging Face にも公開されていません

2026年8月1日時点で、自前の GPU にダウンロードして動かせる Wan は 2.2 系(+Wan-Dancer-14B)までです。クラウド画面で見た版番号が、そのままローカルで使えるわけではありません。

ローカル導入を検討するなら評価すべき対象は 2.2 系の出力です。なお Wan2.2 の重み公開は2025年7月28日、リポジトリ最終更新は2026年3月17日、派生の Wan-Dancer は2026年7月17日更新(GitHub API で2026年8月1日に確認)で、プロジェクト自体は動いています。

必要スペック——公式 README には VRAM の数字が2系統ある

1つはコマンド例の直後の注記で、原文は次の2種類。

14B 級(T2V-A14B・I2V-A14B・S2V-14B)の単一GPU実行:

This command can run on a GPU with at least 80GB VRAM.

TI2V-5B の単一GPU実行(720P):

This command can run on a GPU with at least 24GB VRAM (e.g, RTX 4090 GPU).

80GB は上記3タスクの単一GPU例すべてに同じ文言で付き、TI2V-5B の節にも「80GB 以上あるなら省メモリの3オプションを外して高速化できる」という補足で登場します。

もう1系統:公式の計測表(単一GPUのピークVRAM)

「Computational Efficiency on Different GPUs」節には assets/comp_effic.png として公式の計測表(Total time (s) / peak GPU memory (GB))があります。GPU 1枚の列は次のとおり(2026年8月1日に画像を取得して読み取り)。

モデル計測GPU解像度ピークVRAM
TI2V-5B(T2V/I2V)RTX 4090720P22.9GB/22.8GB
T2V-A14BH20・A100・H100480P/720P41.3GB/59.8GB
I2V-A14BH20・A100・H100480P/720P41.0GB/59.7GB

計測時の単一GPU設定は 14B が --offload_model True --convert_model_dtype、5B は --t5_cpu も加えたもので、注記と同じ省メモリ設定です。同条件なのに注記は「80GB 以上」、計測表は 41〜60GB ——README 内に2つの数字が併存しています(S2V-14B と Animate-14B はこの表になし)。結論は変わらず、41GB でも 24GB/32GB 級の消費者向けGPUには収まらないため現実解は TI2V-5Bですが、48GB 級のGPUがあるなら「80GB 必要」とだけ読んで諦める前に計測表を見る価値はあります。

VRAM が足りないときの公式オプション

README は OOM(メモリ不足)時の回避策として --offload_model True--convert_model_dtype--t5_cpu の3オプションを挙げています。注意したいのは、TI2V-5B の「24GB で動く」というコマンド例が、この3オプションを付けた数字である点です。素の状態で 24GB に収まる意味ではありません。

解像度と速度についての公式記載

TI2V-5B の 720P は 1280*704 または 704*1280 で、他タスクの 720P(1280*720)とは異なると README は明記しています。速度は次の記載。

Without specific optimization, TI2V-5B can generate a 5-second 720P video in under 9 minutes on a single consumer-grade GPU

5秒の 720P 動画に、消費者向けGPU 1枚で9分未満——前掲の計測表の 4090・単一GPU 534.7秒(約8.9分)とも整合。ローカルは速さではなく「回数を気にせず回せること」で選ぶのが実態です。クラウド側の実質単価と比べるなら 動画生成AIの料金相場 の計算式が先です。

※ 実測後に更新します(2026年8月1日時点で未検証)。①公式計測表の 22.9GB・534.7秒が手元の RTX 4090 で再現するか ②省メモリオプションの出力への影響——この2点は当サイトで計測していません。

導入手順(公式 README/INSTALL.md の記載)

以下は公式リポジトリの記載を TI2V-5B 向けに置き換えた手順です(README のダウンロード例は T2V-A14B)。

1. リポジトリを取得する

git clone https://github.com/Wan-Video/Wan2.2.git
cd Wan2.2

2. 依存関係を入れる

# Ensure torch >= 2.4.0
pip install -r requirements.txt

requirements.txttorch>=2.4.0transformers>=4.49.0,<=4.51.3flash_attnnumpy>=1.23.5,<2 などを指定しています(2026年8月1日確認)。transformers に上限が付いている点は見落としやすく、最新版を入れると条件から外れます。README は flash_attn が入らない場合、他を先に入れて最後にこれを入れるよう案内し、それでも通らないときの Poetry 経由の回避策が INSTALL.md にあります。

3. 重みをダウンロードする

huggingface-cli download Wan-AI/Wan2.2-TI2V-5B --local-dir ./Wan2.2-TI2V-5B

ModelScope でも取得できます。24GB 級の GPU なら指定は Wan-AI/Wan2.2-TI2V-5B(約34.2GB) です。

4. 生成する

TI2V-5B の公式コマンド例(省メモリの3オプション付き)。

python generate.py --task ti2v-5B --size 1280*704 --ckpt_dir ./Wan2.2-TI2V-5B \
  --offload_model True --convert_model_dtype --t5_cpu --prompt "(英文のプロンプト)"

--image を付ければ画像→動画、なければテキスト→動画です。複数GPU向けには PyTorch FSDP と DeepSpeed Ulysses を使う torchrun の例も README にあります。

5.(任意)プロンプト拡張を設定する

README はプロンプト拡張の有効化を推奨し、Dashscope の API キー方式とローカルの Qwen 系モデル方式の2つを示しています。後者は動画モデルとは別に GPU メモリを消費する点に注意。

コマンドを書かずに済む経路:ComfyUI と Diffusers

環境構築で消耗したくないなら、公式が案内する経路が2つ。ComfyUI へは2025年7月28日に統合済み、Diffusers 版は T2V-A14B/I2V-A14B/TI2V-5B にあり、Animate-14B も2025年11月13日に加わりました。ただしどちらでも必要な VRAM とストレージは同じです。用語は 動画生成AIの用語集 もどうぞ。

ライセンス——Apache-2.0 と「生成物の権利」

Wan2.2 のリポジトリには LICENSE.txt として Apache License 2.0 の全文があり、Hugging Face の Wan-AI 公開モデル24件すべてに license:apache-2.0 タグが付いていました(2026年8月1日確認)。README のライセンス節はこう書きます。

The models in this repository are licensed under the Apache 2.0 License. We claim no rights over the your generated contents, granting you the freedom to use them while ensuring that your usage complies with the provisions of this license.

生成物に権利を主張しないと明記している点は、商用利用を有料プランの条件にすることが多いクラウドサービスとの実務上の差です。

ただしここから先は Wan に固有の話ではありません。ライセンスが商用利用を許すことと、出力された映像が誰の権利も侵していないことは別レイヤーで、README も法令違反や加害に使わない責任は利用者側にあると述べています。線引きは各社共通なので 商用利用できる動画生成AIまとめ の「出力物側のチェック項目」を流用してください。

なお派生の Wan-Dancer も README で Apache 2.0 と明記(2026年8月1日確認)ですが、派生はライセンスが変わり得るため、第三者公開の Wan ベースモデルは個別に確認してください。

よくある質問

Q1. Wan をローカルで動かすのに必要な VRAM はいくつですか?

A. 公式 README には2系統あります。コマンド例の注記は14B 級の単一GPU実行が 80GB 以上、TI2V-5B が 24GB 以上(RTX 4090 が例示)。公式の計測表では単一GPUのピークが TI2V-5B 22.9GB・T2V/I2V の A14B 41.0〜59.8GB です(2026年8月1日確認)。

Q2. RTX 3060(12GB)や 4070(12GB)でも動きますか?

A. 公式 README には 12GB 級の動作を示す記載がありません(注記も計測表も、最小は TI2V-5B の 22.8〜24GB)。コミュニティ製の量子化モデルは公式の保証範囲外のため本記事では扱いません。

Q3. クラウドで見かける「Wan 2.6」をローカルで動かせますか?

A. できません。2026年8月1日時点で GitHub の Wan-Video と Hugging Face の Wan-AI が公開する重みの最新は Wan2.2 系(+2026年7月10日作成の Wan-Dancer-14B) で、2.3 以降の番号が付いた公開重みはありません。商用利用は 商用利用できる動画生成AIまとめ をどうぞ。

まとめ

  • 現実解は TI2V-5B + VRAM 24GB の1つ。14B 級は注記が 80GB、公式計測表でも単一GPUで 41〜60GB と個人環境の想定外です(2026年8月1日、README 確認)。
  • 速度でクラウドには勝てません。公式記載でも消費者向けGPU 1枚で「5秒の 720P に9分未満」。利点は回数と手元完結。
  • ローカルで動かせるのは 2.2 系まで(クラウド画面の版番号とは別物)。
  • ライセンスは Apache-2.0。README は生成物の権利を主張しないと明記しますが、出力物の侵害リスクは別レイヤーです。
  • 導入は git clone → 依存インストール → 重み取得 → generate.py の4段階。詰まるのは flash_attntransformers の上限です。

自前 GPU の条件が合わないならクラウド側が確実。選び方は 動画生成AI おすすめ比較、コスト感は 動画生成AIの料金相場 をどうぞ。

(仕様・容量・ライセンスは2026年8月1日に公式リポジトリと Hugging Face で確認。)